湘南アマデウス合唱団

曲目解説

W.A.モーツァルト: ミサ ハ長調 KV337「荘厳ミサ」
KV337は1780年3月作曲の日付が入っており、当団も数度演奏した「戴冠式ミサ」KV317から見て丁度1年後に出来たものです。「戴冠式ミサ」が美しい旋律があちこちに配されていてあまりに有名なので、陰に隠れた存在となって演奏会の機会はあまり多くありませんが、楽器編成やその規模すべてで「戴冠式ミサ」と双璧をなすもので、他に「ミサ・ロンガ」「荘厳ミサ」「ミサ・ソレムニス」の別名もあるほど名前にふさわしい名曲で、後述しますが、モーツアルトの死後ウィーンでよく演奏されました。
この頃のザルツブルグ大司教コロレードの命令で、「ミサは45分以内」とされ、モーツアルトのミサ曲はどれも30分以内のいわばミサ・ブレビス(短いミサ)の部類になっています。ここではやはりグローリアとクレドが簡略化されてはいるものの、祝祭的な典礼の性格とそれに合わせた楽器編成で質の高いミサ曲となっています。
モーツアルトはこの曲を最後として、以後ウィーンに移住してしまったので、ザルツブルグで作曲された最後のミサ曲となりました。
この曲は後の時代、ウィーンの宮廷礼拝で名曲としてよく演奏されたようです。その証明として、一説にモーツアルトを毒殺したと言われるアントニオ・サリエリが演奏時に注釈を書き加えたこのミサ曲KV337の楽譜がウィーンに残されています。
モーツアルトはザルツブルグ時代に10のミサ曲を作曲しましたが、その大半にハ長調が多く用いられているので、作品番号がないとどの曲か判かりません。ハ長調という調性は、他の一切の調子記号を拒むとされ、その堂々たる音調のために祝祭性の高いミサ曲に好まれていますが、同時に祝祭性にふさわしい楽器としてはトランペットが多く用いられました。その演奏上便利な調号として多く採用されたとも言われています。

小笠原 康二

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